モクロウ
利用分野
日本の伝統文化
古くから和ろうそく、大相撲力士の髪油、衣料用として絹織物の艶出しに利用されています。
化粧品分野
現在では口紅・眉墨・クリーム・ポマード・チック等、化粧品原料として広く利用され需要が増えています。また、新製品であるモクロウのパウダーを利用した感触改良剤なども展開しています。
その他
医薬品(こう薬、軟膏)、文房具類(色鉛筆・クレヨン・パステル等)、セラリカコーティングや食品離型剤、石鹸などにも利用されています。さらに将来は、医療分野での利用も期待されています。
モクロウの特徴
当社のモクロウには、大きく3つの特性があります。
粘靭性
化粧品類に粘りを与え、かつ適度な硬度を保持させる性質を持っています。
透明性
ポマードではヒマシ油をモクロウによって固化し、ゲルの状態にします。またゲルに透明感を保持させる特性を持っています。
光沢性
モクロウの結晶は緻密で、製品に光沢性を与えます。
当社のモクロウ精製技術
理化学研究所と共同開発した当社独自の精製法(特許取得)により、モクロウ本来の特性を損なわずに、固有の臭気と過酸化物を完全に除去することに成功しました。
当社で精製したモクロウは人肌などへのタッチ性に優れ、化粧品分野で様々な製品に使用されています。また当社のモクロウを原料として使用することで、使用する香料そのものの純粋な香り立ちが得られ、商品価値の向上及び原価の低減を図ることができます。
モクロウの産地や生育環境
モクロウは主に九州・四国・中国地方で自生しているハゼの木の実から得られる日本特産の天然植物系ロウです。 近年、櫨の実が収穫されずに放置されているハゼの木が増えており、収穫者不足が深刻な問題となっています。 弊社は4年前から、ハゼの実の収穫方法の講習会である「ハゼの実スクール」を九州各地で実施し、安全で効率の良い収穫方法を指導し、新しい収穫者を育てています。SDGs未来都市を目指す水俣市とも協力し、ハゼの木の植林や収穫から新製品づくりまで未来づくり活動も進めております。
原料の由来(ハゼについて)
モクロウは主に九州・四国・中国地方あるいは和歌山県で自生しているハゼの木の実から得られる日本特産の植物系ロウです。ハゼはウルシ科の落葉高木で、秋の紅葉が美しいことでも知られています。5〜6月頃黄に白色の小さな花が咲きます。(ハゼ花は高級ハチミツとして利用されています。)その後、緑色の小さな実がつきます。果実は次第に成熟して黄色になり、11月上旬から翌年の2月頃までに採取されます。ロウ分は薄い外皮に包まれた果肉部の繊維の中に含まれています。
日本の伝統を支えるモクロウ
ハゼの木の枝は高度な草木染技法で染められます。その染め方は、天皇陛下が即位されるときの正装「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に使用されます。皇后陛下の御髪のおすべらかしも、その実から抽出されたモクロウで固められています。さらに国技大相撲の力士の大銀杏も、モクロウで作った鬢付け油です。さらに、神事にも使われる和弓の芯材もハゼの木の幹が使われています。まさにハゼ・モクロウは日本を代表する“ジャパンワックス”なのです。
モクロウの歴史、当社のはじまり
もともと日本をはじめアジアの暖地に野生していたハゼの木ですが、栽培されるようになったのは今からおよそ700年前と推定されています。8世紀初めに施行された"大宝律令"にウルシ樹の栽培奨励に関する事項があり、ウルシの実からロウを採ったのだろうと言われています。
モクロウが本格的に栽培、生産されるようになったのは、ろうそく、びんつけ、こう薬などの需要が増加した、江戸時代に入ってからのこと。当時は、各藩がハゼノキの品種改良を競うように行いました。また天保の大飢饉の際には、藩外から現金収入が得られることから藩財政の立て直しと貧民救済として、モクロウの製造を多くの藩が奨励しました。そのひとつ九州・有馬藩(現在の久留米市、八女市地区)で藩命を受けた野田家第8代目常太郎が、野田製蝋を興したのが当社セラリカNODAの始まりです。その後、モクロウの生産は明治時代に最盛期を迎えますが、終戦直後は外貨不足で油脂が輸入ができなくなり、国産のモクロウが貴重品として大いにもてはやされるようになりました。
木ロウ製品シリーズ一覧表
製品シリーズ | 製品名称 | 形状 |
---|---|---|
未来型製品 (機能性・文化) | ロイヤルワックスG | ペレット |
ロイヤルワックスW | ペレット | |
和ローソク (手掛け・型抜き) | 工芸品 | |
高脱臭モクロウパウダー | 真球パウダー | |
Fシリーズ (農薬フリー/安心安全) | NC-1250F | ペレット |
NCシリーズ (高精製品) | - | - |
スタンダード精製品 | モクロウ-100 | ペレット |
モクロウ-100S | ペレット | |
脱臭精製白蝋 | ペレット | |
SJ-CY(合成木ロウ) | ペレット | |
コスト重視品 | 工業用モクロウ(小皿) | ペレット |
工業用モクロウ(大皿) | ペレット | |
生蝋(下掛け) | ペレット | |
特撰白蝋 | ペレット | |
宝白蝋 | ペレット |
木ロウ製品性能比較表
未来型製品 | スタンダード | ||
---|---|---|---|
製品名 | 高脱臭モクロウ真球パウダー | モクロウー100 | 脱臭精製白蝋 |
形状 | パウダー | ペレット | ペレット |
溶解後の透明性 | |||
説明 | 商品の原料を化石原料から天然物に変えたいという声にお応えし、様々な感触や粒径のセラリカ天然パウダーシリーズ | 脱色、脱臭を行ったモクロウ100%の精製品 | 天日晒し、脱臭を行ったモクロウ100%の精製品 |
組成 | |||
酸価 | 15~30 | < 30 | 15~30 |
ケン化価 | 205~225 | 205~225 | 205~225 |
ヨウ素価 | 5~18 | 5~18 | 5〜18 |
融点(℃) | 50~53.5 | 50~53.5 | 50~53.5 |
過酸化物価 | < 20 | - | < 20 |
重金属(ppm) | < 20 | < 20 | < 20 |
ヒ素(ppm) | < 2 | < 2 | < 2 |
比重 | 0.98(25℃) | 0.978(25℃) | 0.98(25℃) |
針入度(100g/5s) | - | 30(25℃) | - |
粘度(cP) | - | 13.8 (100℃) | - |
引火点(℃) | 242 | 242 | 242 |