ロウの意外な使い道
2018年9月22日

神楽衣裳・金刺繍専門店 佐渡村衣裳店様をご紹介致します。
島根県西部の伝統芸能・石見神楽を支えている、佐渡村衣裳店様の作品です。
石見神楽とは、太鼓や横笛からなる軽快な音色に併せ、演舞が繰り広げられる伝統芸能です。見どころは、大変優雅な衣装やお面、人間の体よりも大き な蛇胴で、これらが舞台全体を時に静かに、時に力強く動き回る姿は見ている人を魅了します。
(新潮社の雑誌「波」で、日本の長寿企業ブームを作った「千年、働いてきました」等のノンフィクションを出筆し、大宅壮一ノンフィクション賞他 様々な賞を受賞された、野村進さんが現在石見神楽に注目し連載しております。)

上の写真は佐渡村衣裳店様の作品です。 金糸で形作った立体感のある生き物の刺繍が角度によって様々な表情を表し、見ている人を惹きつけてくれます。迫力がありながらも優雅な衣装、まる で命が吹き込まれているかのようです。

さて、弊社はロウを扱う企業。
どこに弊社の製品・ロウが利用されているのか、皆様わかりますか。

こちらの衣裳を近くで見てみましょう。

わかりましたでしょうか。
布に金糸を縫い付けているこの赤い糸こそが、弊社のロウの活躍の場です。
赤い糸で金糸を布に縫い付ける際、赤い糸の摩擦で金糸が傷つき、輝きを損なう恐れがあります。その為、赤い糸にロウを付け、滑りやすくすることで 、赤い糸が金糸に触れても傷がつきにくく、輝き続けることができているのです。このように、気が遠くなる程の緻密な作業を、こんなにも広範囲に渡 り行っているかと思うと、伝統を支える職人の想いや拘りの強さに心惹かれます。
今後も佐渡村衣裳店様に石見神楽の伝統芸能を後世に継承して頂き、日本の文化を支えて頂きたいと思います。