雪ロウ
写真の黒くて丸いものがイボタロウカイガラムシで、木の枝についている白色物質がロウ分です。当社では、この真っ白な蝋を雪ロウあるいはSnow white waxと呼んでいます。見ての通り、この蝋で覆われた樹木はまるで雪化粧をしたかのようです。
害虫を「殺す」から「生かす」へ
当社の「セラリカ構想」の一環として、1990年代に研究が始まり、セラリカNODAと中国林業科学研究院による共同研究が発展して、JICA※プロジェクトとなりました。 従来代表的な「害虫」とされてきたカイガラムシ等の昆虫を「益虫」に変え、中国四川省や雲南省の山岳地区の貧しい農民を豊かにし同時に緑を増やしてゆくために雪ロウの産業利用開発事業を展開してきました。
※JICA(国際協力機構)は政府開発援助の実施機関の一つである独立行政法人で、開発途上地域等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的としています。
用途にちなんだ多彩な名称
この蝋の歴史的な呼び名は、イボタロウです。 イボタは「疣取」と書きます。疣(いぼ)落としの薬として使用されたことに由来します。 いぼの根元を絹糸で巻き、加熱して溶かした蝋をつけるという治療法がありました。
この蝋を生み出す昆虫の名前はイボタロウカイガラムシです。また、日本国内において、このイボタロウカイガラムシに特に好まれ、雪化粧をする代表的な樹木がイボタノキです。 イボタには「水蝋」という字も当てられます。 先程、いぼ落としの薬としての用途に触れましたが、生薬としては、蟲白蝋あるいは虫白蝋と呼ばれます。読みは「ちゅうはくろう」です。 化粧品に使用される場合も、片仮名表記のチュウハクロウが表示名称となります。 もう一つ、英語でJapan waxといえば木蝋(櫨蝋)を指しますが、Chinese waxというと、この雪蝋のことを指します。中国では日本よりもさらに古くから薬用としての歴史がありました。
雪ロウの特徴
当社の雪ロウは高融点、光沢性があり、真っ白で、針状結晶を持つのが特徴です。 主に防湿剤、潤滑剤、艶出し剤などとして使用されています。 雪蝋で磨いた表面は、滲まず、はじかず、墨書きができるということで、桐箱などの工芸に重宝されています。 碁石のお手入れに適したロウとしても知られています。黒石は椿油で磨き、白石はこの雪蝋を用いて磨くことで輝きを取り戻すのです。
雪蝋を生み出す昆虫
イボタロウカイガラムシは、カイガラムシ科に属する1属1種の昆虫です。 モクセイ科のシナトネリコやトウネズミモチ(イボタ)などに寄生します。 蝋の産生能力については、1500匹の虫に対して1~2gのロウが得られるに過ぎず、雪蝋は現代では高級ロウとなっています。
雪ロウ製品シリーズ一覧表
製品シリーズ製品名称形状
未来型製品
(機能性・文化)
脱臭精製雪蝋No1-
Fシリーズ
(農薬フリー/安心安全)
--
NCシリーズ
(高精製品)
--
スタンダード精製品--
コスト重視品--
雪ロウ製品性能比較表
未来型製品
製品名脱臭精製雪蝋№1
形状
溶解後の透明性
説明JICAプロジェクトで生み出された、雪ロウの精製品。
組成
酸価< 5
ケン化価70~100
ヨウ素価< 10
融点(℃)78〜85
過酸化物価-
重金属(ppm)< 20
ヒ素(ppm)< 2
比重0.97(25℃)
針入度(100g/5s)2.6(25℃)
粘度(cP)12.1(100℃)
引火点(℃)296
適合規格-