雪ロウ タイトル

はじめに

雪ロウ(生かす発想で生まれたロウ)

冬の富士山の空撮

生物の中で最も多様な何百万種も存在しながら、生活に身近なミツバチやカイコ、子供が大好きなカブトムシやクワガタを除けばほとんどが目障りな「おじゃま虫」でしかなく、いつも「殺す」対象となっているのが「昆虫」だ。脊椎動物として最終進化したものが私たち人間なら、無脊椎動物として多様に進化し発展してきた最終進化形が現在注目される生物多様性の大きな軸となっている「昆虫」だ。日本の伝統は、乏しいものを「生かす」文明だ。ありとあらゆるものを無駄なく最後まで使い切る。さらに生活の中で知恵を働かせ、その利用範囲を創造的に拡大していく。そしておばあちゃんのヌカ袋のごとく、そこに愛情が物に込められていき、味わい深く、生き生きとしたものが生み出される。今から十数年前、世界的なプロジェクトである沖縄のウリミバエ絶滅作戦に成功し、何百億匹の虫を殺してきた一人の昆虫学者が、お嬢さんの結婚を前に、今までの農薬研究のような昆虫を殺す研究を脱却し、昆虫の持つ優れた長所、機能に着目した研究を始めようとしていた。朝日新聞のコラム「薄化粧」を彼が書き、セラリカの目にとまった。リンゴの皮の上の白い粉は、リンゴが自らを守る為に分泌した生体保護成分である植物ロウだ。それを彼は薄化粧と表現した。その生命ロウへの素晴らしい表現に感動したセラリカとの出会いにより、害虫の代表であるカイガラムシを「殺す」のではなく「生かす」研究が始まった。その研究が発展し、セラリカNODAと中国林業科学研究院の間でJICAプロジェクトとなりそこで生み出された成果が雪ロウである。